ATP(男子テニスツアー)のランキングの仕組みとは


ランキングシステムとは
男子プロテニス(ATP)には、「ATPランキングシステム」というものがあって、各選手の順位付けを行っています。

いわゆる、「世界1位の選手」とか「Top10選手」などは、このランキングを元に呼ばれることになっています。
毎年11月上旬に行われる「ツアーファイナル」で獲得したポイントも、世界ランキングを決定する際に加算されます。

ただし、「ツアーファイナル」に出場できる上位8選手の選考は、
このランキングの計算とは別になります

ツアーファイナルの計算方法はこちら


ここで計算される世界ランキングによって、エントリー方法や各大会のシード順などが決定されていくのです。



ランキングの計算期間
各選手のランキングポイントを計算する際は、直近52週(1年1ヶ月)間に参加したツアーの成績から決定されます。

例えば、ウィンブルドンで優勝した場合は、「2000」ポイントが入るのですが、
前年優勝の選手が、今年のウィンブルドンで、また優勝すれば「2000」ポイントが入ります。
つまり、この場合ポイントの増減はありません。

前年優勝したのに、今年は優勝を逃して準優勝だと、「1200」ポイントしか入りませんから、「-800」ポイントとポイントが減ることになります。

逆に、前年に準優勝していて「1200」ポイントしか持っていなかった選手が、今年優勝して「2000」ポイントを獲得すれば、
「800」ポイントが、この選手に加算されることになるのです。


フェデラーウィンブルドン2012年は優勝でトロフィーにキス

2012年のウィンブルドン決勝で「ロジャー・フェデラー」に敗れた「アンディー・マレー」は、準優勝で「1200」ポイントを獲得していましたが、
翌年2013年は、イギリス人選手としては77年ぶりにウィンブルドンを制覇しました。
ここでマレーは、「2000」ポイントを獲得することになって、差し引き「+800」ポイントを獲得した、ということになります。

逆に、フェデラーは2013年のウィンブルドンで、まさかの2回戦敗退を喫しました。
グランドスラムの2回戦で終わった場合には、「45」ポイントしか入りません。
つまり、フェデラーはウィンブルドンだけで、一気に「-1955」ポイントとなりました。

こうやって、参加する大会でポイントの増減を繰り返しながら、ランキングを決定していくのです。


各大会で獲得できるポイント数は、後ほど解説します。



大会への出場義務とは
カレンダーでの1年間の年末時点で、Top30(世界ランキング上位30名)の選手達は、以下の大会への出場が義務づけられています。

●グランドスラム(4大会)
●マスターズ1000(8大会) モンテカルロ・マスターズは出場義務なし
●ATP500(いずれか4大会) デビスカップ、オリンピックも含む

ただし、ATP500の4大会の内1大会は、全米オープン以降に開催される
チャイナ・オープン
楽天オープン
バレンシア・オープン
スイスインドアバーゼル

の4つの内いずれかに出場しなければなりません。


Top30圏外の選手には、これらの出場義務はありません。



ポイント加算の対象

【Top30の選手達】

●前年にツアーファイナルに出場した上位8選手
・ツアーファイナル
・グランドスラム(4大会)
・マスターズ1000(8大会)
・ATP500(4大会)
・モンテカルロ・マスターズ及びATP500以下で成績の良かった大会(2大会)
————————————
合計→19大会の成績



●ツアーファイナルに出場していない選手
・グランドスラム(4大会)
・マスターズ1000(8大会)
・ATP500(4大会)
・モンテカルロ・マスターズ及びATP500以下で成績の良かった大会(2大会)
————————————
合計→18大会の成績



Top30の選手達には、上記で挙げたように「出場義務のある大会」がありますので、病気やケガ、身内の不幸など、どんな理由であれ出場義務のある大会を休んでしまうとその大会での獲得ポイントが「0」ポイントとなります。

例えば、前年の全豪オープンの大会で優勝して「2000」ポイントを獲得していたのに、
「今年はケガで出場できない!」
という場合は、一気に「マイナス2000」ポイントになります!


「マスターズ1000」の中で、唯一出場義務を課していない「モンテカルロ・マスターズ」は、参加しなくても「0」ポイントが強制的に付加されることはありません。

したがって、ポイントを多く獲得すれば、加算対象となりますし、
もし、早々に負けて、獲得ポイントが少ない場合、ATP500やATP250などでより多くのポイントを獲得している大会があれば、そちらが優先されます。



【Top30圏外の選手達】

この選手達には、グランドスラムやマスターズなど大きな大会の出場義務がないこともあり、例えこれらの大きな大会を欠場しても「0」ポイントとして加算されることはありません。

それもそのはずで、ドロー数によっては出たくても出られない選手だっているし、
予選から参加しなければならない場合など、予選で負けてしまうこともあるからです。


ただし、大きな大会に参加した場合は、例え初戦敗退でポイントが少なくても、参加した大きな大会順の「18大会」がポイントの加算対象となります。



ポイントの例

まず、各大会で獲得できるポイントの早見表です。


【ランキングポイント早見表】
優勝 準優勝 R4 R8 R16 R32 R64 R128
グランドスラム 2000 1200 720 360 180 90 45 10
マスターズ1000 1000 600 360 180 90 45 10(25) (10)
ATP500 500 300 180 90 45 (20)
ATP250 250 150 90 45 20 (5)

「マスターズ1000」の中でも、3月に行われる「インディアンウェルズ」と「ソニー・オープン」に関しては、ドロー数が「96」となるので、R64とR128のポイント数がそれぞれ「()の中の数字」となります。

ただし、シード選手は1回戦が免除されますので、2回戦からの戦いとなります。
もし、2回戦で負けると「R64」のポイント・・・・とはならず、「R128」のポイントしか獲得できません

つまり、「インディアンウェルズ」や「ソニー・オープン」でシード選手が2回戦で敗れると「25pt」ではなく、「10pt」しかもらえない、ということになります。



また、予選通過者が本戦に参加した場合、上記の早見表のポイントに以下のおまけポイントが少しつきます。


【予選通過者が本戦参加でもらえるポイント】
予選参加者
グランドスラム 25
マスターズ1000 25(12)
ATP500 20(10)
ATP200 12(5)

()内の数字は、ドロー数がそれぞれ「マスターズ1000」では56ドローより大きいドロー、「ATP500」では32ドローより大きいドロー、「ATP250」では32ドローより大きいドローの場合にもらえるポイントとなります。



さらに、ツアーファイナルに出場できる上位8名には、ツアーファイナルの成績によるポイントが加算されます。

【ツアーファイナルのポイント計算】
「4人(レッドグループ)」「4人(ゴールドグループ)」に分かれ、まずは総当たり戦を行います。

●RR(ラウンドロビン)
総当たり戦は各人3試合を行い、上位2名が決勝ラウンド進出。
1試合勝利すると「200」ポイントが入る。

●準決勝
勝利すると「400」ポイントが入る。

●決勝
勝利すると「500」ポイントが入る。


まずは、総当たり戦があるため、ここで「2勝1敗」など1つ負けても決勝ラウンドに行けることもあります。

▼全勝優勝の場合▼
RR×3=600ポイント
準決勝=400ポイント
決勝=500ポイント

合計は、MAXとなる「1,500」ポイントが入る。



▼RRで1つ負けたけど結局優勝の場合▼
RR×2=400ポイント
準決勝=400ポイント
決勝=500ポイント

合計「1,300」ポイントが入る。



以上をふまえて、ここでは「ラファエル・ナダル」と「トマス・ベルディヒ」、「ギエルモ・ガルシア=ロペス」の3人を見てみましょう。
(2014年5月20日時点)


ナダルのランキング計算
ナダルの獲得ポイント

表の最初「World Championship」となっている部分が、「ツアーファイナル」になります。
この時点では、2013年11月に行われたファイナルの成績となります。

ナダルの2013年の「ツアーファイナル」の成績は、
RR全勝=600ポイント
準決勝勝利=400ポイント
決勝=ジョコビッチに敗退

だったので、「1,000」ポイントを獲得しています。


さて、それ以降は、出場義務のある大会がカウントされます。
ナダルは、当然Top30の選手になりますから、大会によって出場義務が課せられます。

ここでは、「グランドスラム」と「マスターズ1000(モンテカルロ・マスターズを除く)」の「12大会」になります。

さらに、ATP500を4大会(内一つは全米オープン以降(ナダルの場合、「チャイナ・オープン」に出場しています))という条件もクリアしています。

グランドスラム(4大会)
マスターズ1000(9大会)
ATP500(4大会・・・デビスカップはATP500のカテゴリに含まれます)
ATP250

「ツアーファイナル」も含め、全部で19大会となります。


この時点では、まだ参加している大会も多くないため、出場した全ての大会で18大会となりますから、すべての大会を加算できます。

この後、まだまだATP500やATP250に参加する可能性もありますから、そうなるとナダルの場合、今後の成績によっては、以下の大会が、ポイント計算からカウントされなくなる可能性があります。


・モンテカルロ・マスターズ
・ATP500の大会
・ATP250とそれ以下の大会



続いて、「トマス・ベルディヒ」です。

ベルディヒのポイント獲得表
ベルディヒのポイント

表の最初「World Championship」となっている部分が、「ツアーファイナル」になります。
この時点では、2013年11月に行われたファイナルの成績となります。

200ポイントを獲得していますが、ベルディヒの2013年ファイナルの成績は、
RR1勝2敗=200ポイント

と、予選で敗退したので、200ポイントだけを獲得しています。


さて、それ以降は、出場義務のある大会がカウントされます。
ベルディヒもTop30の選手になりますから、大会によって出場義務が課せられます。

ここでは、「グランドスラム」と「マスターズ1000(モンテカルロ・マスターズを除く)」の「12大会」になります。

さらに、ATP500を4大会(内一つは全米オープン以降(ベルディヒの場合、スイス・バーゼルに出場しています))という条件もクリアしています。

グランドスラム(4大会)
マスターズ1000(8大会)
ATP500(4大会・・・デビスカップはATP500のカテゴリに含まれます)
ATP250(2大会)
となります。


ベルディヒは、モンテカルロにも出場しましたが、他のATP500以下の大会で獲得したポイントと見比べても、モンテカルロで獲得したポイントが少ないので、計算する18大会の中には含めません。

また、スイス・バーゼルも「ATP500」ですが、他のATP500以下の大会で獲得したポイントが高いものがあれば、そちらが優先されます。

ベルディヒは、小さい大会にもちょこちょこ出場していますが、計算対象にならない大会が結構あります。
(「Non-Countable Tournaments」の中にある5大会は、ベルディヒの計算対象にならない大会です。)


最後に、「ギエルモ・ガルシア=ロペス」です。


ガルシアロペスのポイント
ガルシアロペスのポイント

まず、ロペスは、2013年の年末の時点で、「Top30圏外」にいました。
したがって、出場義務を課せられる大会はありません。


「グランドスラム」と「マスターズ1000」の本戦に参加すれば、それらは必ず計算対象となりますが、
ロペスは、「パリ・マスターズ」を予選で敗退しています。

つまり、マスターズの出場義務がないので、ここで「パリの本戦に出場できなかった」という「0」ポイントは、計算対象には入ってこないのです。

さらに、マスターズの不出場が4つありますが、これらも出場義務がないので、強制的に「0」ポイントが付加されることがないのです。

ただし、「インディアンウェルズ」のように、本戦にエントリーされたにも関わらず、出られなくなってしまった場合は、「0」ポイントが付加されます。

インディアンウェルズやソニー・オープンは、「マスターズ1000」でもドロー数が「96」と多いですから、2014年の3月時点で、ランキング56位にいたロペスは、予選はなく本戦に参加できたわけですが、
あえなく出場を辞退したため、「0」ポイントがついてしまいました。


ロペスは、年間で「ATP250」や「チャレンジャー」など小さい大会にも結構出場しています。


しかし、合計18大会で計算されるので、カウントの対象にならない大会も多くなってしまうのです。
(ベルディヒと同様、「Non-Countable Tournaments」の中にある大会は、計算対象にはなりません。)


ATPポイント計算まとめ
こう見てみると、「ところかまわず試合に出ればいい」ということではない、ということがよく分かりますね。

メインとなる大会を押さえつつ、その合間に自分の得意なサーフェス、スケジュール、他の参加選手の動向などをチェックしながら、エントリーしていくことになるのです。

元々、グランドスラムやマスターズの本戦に参加できない、ランキング下位の選手は、大きな大会と平行して行われる「ATP250の大会」や「チャレンジャー」、「フューチャーズ」などに出場して、少しでもポイントを稼ぐ旅に出るわけです。